早産児ちゃんの発達
早産児は、在胎週数によって幅の大小こそあれ、「発育・発達過程において何らかの問題が生じる可能性がある」ハイリスク児と規定されています。ただし、在胎週数35〜37週未満の早産児は、発達も成長予後も正期産児とほとんど変わらないと考えられています。
出生体重が1000g未満の超低出生体重児や1500g未満の極低出生体重児の予後については、現在、大規模な調査がおこなわれています。これは1990年に日本で出生した1000g未満の超低出生体重児2291人のうち1597人(全出生の約70%)を対象とし、その後3歳まで追跡できた853 例、6歳まで追跡できた548例について調べたものです。
この調査によると、総合発達評価において正常と判定されたものは3歳の853例中640例(75%)、境界は93例(10.9%)、異常は120例(14.1%)となっています。つまり、超低出生体重児の4分の3は正常に発達しているということです。
6歳時点での就学状況は、普通学級就学予定が456例(83.2%)、普通の小学校の障害児学級が27例(4.9%)、養護学校が29例(5.7%)、就学猶予が5例(0.9%)という内訳でした。また、両目ともに失明は3歳、6歳ともに3.3%、弱視は6歳時点で12.6%となってお り、超低出生体重児の視力障害リスクの高さが現れています。
このように早産児、特に、在胎週数が28週未満に多い超低出生体重児は、脳性麻痺や精神発達遅滞、視力障害などのリスクが高いのが現実です。
もし障害が心配な場合は、自分ひとりで悩んだり、自己診断したりせずに、主治医の先生や地域の保健婦さん、児童相談所などに相談することが大切です。そして適切な診断やアドバイスを受け、早めに治療やリハビリをスタートさせることで、障害を最小限にくいとめることができます。
資料:平成16年度厚生科学研究費補助金(子ども家庭総合研究事業)分担研究報告
超早産児の長期予後(兵庫県立こども病院 小児科部長 上谷良行)より。